ビジネスの現場でよく耳にするデータ分析の重要性。しかしデータ分析とは何か、どう活用すれば良いのかイメージが湧きにくいものです。今回はデータ分析の意味や役割、手順について、5ステップに分けて具体的に解説します。
特に以下のような悩みをお持ちの方は、本記事が解決の一助となれば嬉しいです。
・今後自身の業務でデータ分析を始める前に、考え方のベースを身につけたい
・分析ツールの使い方ではなく、分析手順の大枠を把握したい
はじめに
前回は「必要な情報・データを収集する」について解説しました。
今回は最後のステップとして、「情報・データを分析し、改善に繋げる」をテーマに解説します。
洗い出した要素から改善対象を選定する
前回の記事では、次の「解像度を高めた問題」を例として、収集する情報・データを確認するまでの大まかな流れを見ていきました。
問題
広告媒体Aからの申込み数が、対前月比で10%減少しているため、減少要因を明らかにしたい
まず先頭要素に「(広告による)申込数減少」と置いた「原因究明ツリー」を活用し、減少要因として考えられる要素にブレイクダウンしていきました。
そして「問題」の前提に「対前月比で10%減少している」とあるため、
分解した各要素(考えられる原因)における対前月比の数値を確認し(申込み率は10%減少しているか等)、相対的に減少幅が大きい要素を「減少要因」と仮説立てできることを解説しました。
上記の例の場合は、代表的なインターネット広告運用ツールの「Google広告」や「Yahoo!広告」等を活用して数値を確認することができるでしょう。
ここからは各要素を各種データや情報から取得できていることを前提に、進めていきます。
各要素の数値を取得する際に意識すべきことは、「分解要素の中で、対前月比の減少幅が相対的に高いものを「減少要因」と仮説立てすること」でした。
その上で今回は、対前月比の減少幅が想定的に大きい要素が「①申込み率の減少」「②CTRの減少」の2つだった場合、つまりこれらを「減少要因」と見立てた場合を想定して次に進みましょう。
改善施策を実行する
減少要因と考えられる要素は「①申込み率の減少」「②CTRの減少」である可能性が高いことをデータから特定しました。
ここまで事象を分解することで、今回の問題に対して、解像度の高い改善施策を検討、実施することができるのです。
今回の例の場合は、
①申込み率の減少:LP(ランディングページ)の最適化
②CTRの減少:広告テキストや画像の改善
などが考えられるでしょう。
※今回は大まかな流れの解説のため施策例等の内容は簡略化していますが、実際は出来るところまで内容を具体的にしましょう。
今回の例はネット広告に関係したものでしたが、この問題設定から改善策検討までの手順は、どのような問題であれ転用することが出来ると思います。
また改善策の検討についても、今回のように要素分解を行っていない状況であれば考えにくいですが、要素を分解することで、自ずと解像度の高い施策(具体的にどんなアクションをすれば良いか把握できるもの)が考えつくものです。
ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
どれだけ精度の高い改善策を検討、実施できるか。
これは「解像度を高めた問題を、いかにロジックツリーを活用して漏れなく要素分解できるか」が大切です。
ロジックツリーを初めて活用する場合は、最初は手が止まって当然ですが、繰り返し実践することで、だんだん分解に慣れていくものだと思います。ぜひ実践してみてください。
最後にロジックツリーのポイントを振り返り、終わりたいと思います。
ロジックツリー作成のポイント
ポイント①
先頭におく問題の解像度は必ず高い状態にしてから分解していく
ポイント②
分解の切り口は、基本的には「自分で考えられる切り口を仮説で洗い出していく」こと
ただし困ったら「STEP●」リンク も参考に検討してみる
ポイント③
要素は5回を目安に「なぜ」を繰り返し、分解していく(5階層目まで要素分解する)
おわりに
ここまで読んでくださりありがとうございます。
「データ分析の意味や役割、手順について」全5ステップに分けて解説してきました。
改めて各ステップの概要は次のとおりです。
・ステップ0|データ分析とは何か?
:分析の種類や定義など、前提となる情報をまとめています。
・ステップ1|まずは”目的”と”目標”の把握から
:データ分析における目的と目標設定の重要性についてまとめています。
・ステップ2|問題の解像度を高める
:問題の解像度を高める4つの視点についてまとめています。
・ステップ3|適切な”切り口”から問題を紐解いていく
概要:問題を紐解く際の切り口について、ロジックツリーの活用を踏まえてまとめています。
・ステップ4|必要な情報・データを収集する
:ロジックツリーで要素分解した後の情報・データ収集の流れについてまとめています。
・ステップ5|情報・データを分析し、改善に繋げる(本記事)
概要:問題の要因の特定から施策検討の流れについてまとめています。
本記事は「Webサイトにおけるアクセス解析に必要なベース思考」の整理を目的に、当初執筆を開始しました。しかし最終的にはより汎用性のある情報整理を目指し、Webサイトに留まらない「データ分析の考え方」をまとめた想定です。
・自身の業務で何かしらのデータ分析を行うことになったが、取り掛かり方が分からない
・データ分析に興味があるが、ツールの使い方などではなく考え方の基本を学びたい
このような悩みをお持ちの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。