ビジネスの現場でよく耳にするデータ分析の重要性。しかしデータ分析とは何か、どう活用すれば良いのかイメージが湧きにくいものです。今回はデータ分析の意味や役割、手順について、5ステップに分けて具体的に解説します。
特に以下のような悩みをお持ちの方は、本記事が解決の一助となれば嬉しいです。
・今後自身の業務でデータ分析を始める前に、考え方のベースを身につけたい
・分析ツールの使い方ではなく、分析手順の大枠を把握したい
はじめに
私はWeb制作会社での業務のひとつとして、Webサイトのアクセス解析を行なっています。
アクセス解析とは、Webサイトの分析ツールであるGoogleアナリティクス等を通して、来訪ユーザーの行動特性やサイト内のボトルネックなどを調査・分析することです。
このような分析業務では、よく「分析の質は勘と経験に依るところが大きい」という声を耳にします。
たしかに多くの場数を踏めば様々な手段がストックされ、常に色々なパターンを想定しながら分析業務に取り掛かることが出来るでしょう。
しかし「正しい考え方」を持っていれば、
初めての分析業務でも、 そうでない場合に比べて視界は大きく広がるかと思います。
そこで本シリーズでは「データ分析の役割や手順」を5ステップに分けて具体的に解説します。
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・自身の業務で何かしらのデータ分析を行うことになったが、取り掛かり方が分からない
・データ分析に興味があるが、ツールの使い方などではなく考え方の基本を学びたい
現在このような状況にある方は、
私自身の経験を基に、あらゆる場面で活用できる分析思考のベースをご紹介していますので、
ぜひ5ステップで紹介する内容を参考にしてみてください。
※本記事は「Webサイトにおけるアクセス解析に必要なベース思考」の整理を目的に、当初執筆を開始しました。
しかし最終的にはより汎用性のある情報整理を目指し、Webサイトに留まらない「データ分析の考え方」を纏めた想定です。
あらゆる場面で応用の効く内容になっているかと思いますので、ぜひ参考になれば嬉しいです。
※普段から何かしらの分析業務を行なっている方は、参考程度にご覧ください。
分析の種類と定義
まず初めに「分析とは何か」と聞かれたら、どのように答えますか?
実際に分析と名のつくものは、以下のように多くあります。
クラウドERP実践ポータル
・定量分析 … 数値で表されるデータを対象とした分析
・定性分析 … 数値では表せない事象や現象を対象とした分析
・統計分析 … 相関分析や回帰分析など統計的手法を用いた分析
・市場分析 … PESTや3Cなどフレームワークを用いて分析
・経営分析 … 財務諸表などを用いて経営状況や経営課題を明らかにする分析 等
デジタル大辞泉では「分析」は次のように定義されています。
コトバンク
複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること
ただしビジネスにおいて「分析」のあるべき姿を考えるならば、
分析とは、
より良い意思決定をするための行為
と解釈する方が望ましいのではないか、と私は考えます。
なぜなら意思決定に繋がらない分析は、意味のないものになってしまうためです。
より良い意思決定に繋がったときに初めて、分析には価値が生まれます。
この意識を前提に、分析を行うことが大切です。
定量分析と定性分析の違い
分析と名の付くものが多くあることは前述のとおりですが、
ここではビジネスの現場でよく耳にする「定量分析」と「定性分析」の違いを整理します。
定量分析とは「事実情報であるログデータを用いた分析手段」を指します。
定量分析の特徴としては、
事実を数値で量的に把握することであり、問題の「箇所」を特定するのに役立ちます。
定性分析とは「意識情報であるインタビューデータ等を用いた分析手段」を指します。
定性分析の特徴としては、
理由を言葉で質的に把握することであり、問題の「要因」を特定するのに役立ちます。
それぞれの役割や、各分析の組み合わせによる問題解決法等の理解にはこちらが役立ちます。
分析と似た言葉
ここまで幾つかの用語が出てきましたが、ここで用語の整理をします。
主に分析と似た言葉として挙げられる「集計」「解析」を見てみましょう。
分析と似た言葉その1「集計」
集計とは、データを足しあげて計算することを指します。
例えばアイドルの人気投票で順位を確かめる作業などが集計に当たります。
ちなみに集計結果を棒グラフなどでわかりやすくビジュアライズしたものは、分析ではなく集計を可視化しただけの状態です。
分析と似た言葉その2「解析」
解析とは、事柄を細かく分けて数学的かつ論理的に調べることを指します。
ここで気づく方もいるかと思いますが、
どちらも英訳すると「analysis」であることからも、解析と分析はほぼ同義の言葉です。
ただし実際のビジネスの現場では、
「解析」は定量データを扱い、「分析」は定量・定性データどちらも扱う意味合いを持つことが多いです。
故に日本語としては、分析>解析として解釈することが良いでしょう。
以上から、データ分析の言葉は次のような位置付けのイメージになります。
少しややこしいですが、分析と解析に「データ」という同じ単語がついても、
「”データ”分析」は定量・定性データを扱うもの、「”データ”解析」は定量データを扱うものということですね。
ここまで言葉の定義を書いてきましたが、
実際にネットで調べると、使われ方が微妙に異なるケースが見受けられます。
言葉の厳密な定義を追求するよりも、
複数人で言葉を使う際に言葉の意味に対して共通認識を持てるようにしておくなど、
その時々に応じて柔軟に使用することが良いかもしれません。
※今回の「データ分析の基本思考ステップ」では、データを扱う分析全般に活用できる考え方を纏めているため、引き続き「データ分析」という用語を使用します。
まとめ
ここまで読んでくださりありがとうございます。
データ分析とは「”定量的な事実情報”と”定性的な意識情報”を用いた、よりよい意思決定をするための行為」のことです。
集計して終わり、分析して終わり..ではデータ分析と言えません。
改善に向けた意思決定に繋がる分析こそが「データ分析」であり、これは常に意識しておきたいことです。
おわりに
ここまで読んでくださりありがとうございます。
データ分析の基本思考ステップの前提に関する記事は以上となります。
本記事ではまず「データ分析とは何か?」ということを解説しました。
次のSTEP1では「目的と目標の把握の重要性」をテーマに解説しています。
・自身の業務で何かしらのデータ分析を行うことになったが、取り掛かり方が分からない
・データ分析に興味があるが、ツールの使い方などではなく考え方の基本を学びたい
このような悩みをお持ちの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。