ビジネスの現場でよく耳にするデータ分析の重要性。しかしデータ分析とは何か、どう活用すれば良いのかイメージが湧きにくいものです。今回はデータ分析の意味や役割、手順について、5ステップに分けて具体的に解説します。
特に以下のような悩みをお持ちの方は、本記事が解決の一助となれば嬉しいです。
・今後自身の業務でデータ分析を始める前に、考え方のベースを身につけたい
・分析ツールの使い方ではなく、分析手順の大枠を把握したい
はじめに
前回は「データ分析における目的と目標設定の重要性」について解説しました。
今回はステップ2として、「問題の解像度を高める」をテーマに解説します。
問題の解像度とは?
前回の記事では、目標と現状から問題を把握しました。
ここで改めて、「目的・目標・現状・問題」に対する簡単な具体例を見てみましょう。
まずはケース1です。
「目標(今期の申込み数は昨対比110%以上)」に対して「現状(昨対比105%)」がきちんと数値で把握できています。
そして問題も「今期の申込み数がは昨対比-5%だったこと」と、内容が明確です。
つまり「問題の解像度が高い」状態と言えます。
この場合は「なぜ110%に達しなかったのか。どんな改善が必要か」と、要因分析から改善方針の検討などの次のステップに進めそうです。
次はケース2です。
「目的(申込み数を増やすこと)」は設定されていますが、「目標」が定められていません。
また「問題」は検討されていますが、「申込み数が低迷していること」と抽象的です。
つまり「問題の解像度が低い」状態と言えます。
この場合は問題の解像度を高める作業が必要です。
そこで次に、どのような視点で解像度を高めれば良いのか解説します。
※そもそもデータが取得計測できていない等の場合は、まずそのような仕組みを準備することが必要です。
解像度を高める4つの視点
問題の解像度を高める視点は、主に次の4つがあります。
問題の解像度を高める視点
・大きさ
・時間推移
・割合や構成比
・関係性
ケース2では「申込み数が低迷していること」が問題とされていました。
これを4つの視点を活用して、どのように解像度を高めることが出来るのか見てみましょう。
大きさ
まず「大きさ」から示す視点です。
大きさを意識すると、「申込み数の減少幅」といった量に関する切り口が検討できます。
すると今回の問題は、「申込み数はどれくらい減少したのか」といった情報が事前に必要になります。
それが分かれば、次のように問題の解像度を高めることが出来るでしょう。
・申込み数が「●●」減少している
※●●:「10件」など
.
時間推移
2つ目は「時間推移」から示す視点です。
この視点を踏まえると、今回の問題は、「申込み数はいつから減少したのか」といった情報が事前に必要になります。
それが分かれば、次のように問題の解像度を高めることが出来るでしょう。
・申込み数が「●●」から減少している
※●●:「1年前」や「前月」など
.
割合や構成比
3つ目は「割合や構成比」から示す視点です。
この視点を踏まえると、今回の問題は、「A製品の申込み数は他製品と比べてどんな傾向があるのか」「A製品の市場シェアはどれくらいか」といった情報が事前に必要になります。
それが分かれば、次のように問題の解像度を高めることが出来るでしょう。
・A製品の申込み数が「●●」減少している
※●●:「全製品の構成比15%と、昨年の20%から5%」など.
.
関係性
最後は「関係性」から示す視点です。
この視点を踏まえると、今回の問題は、「申込み数は目標に対してどれ程減少したのか」「競合他社のC製品と比べてどれ程少ないか」といった情報が事前に必要になります。
それが分かれば、次のように問題の解像度を高めることが出来るでしょう。
・申込み数が「●●」低い
※●●:「今期の昨対比が105%と、目標(昨対比110%以上)より5%」など
.
まとめ
以上4つの視点を踏まえ、改めてケース2を見てみましょう。
今回は「問題の解像度」をテーマに纏めている関係で触れませんでしたが、
ケース2の場合、実際は「視点」以前に「目標が未設定であること」が根本的な課題として挙げられます。
このように目標が未設定の場合は、まず目標設定することが最重要です。
目標設定の重要性については、前回の記事「データ分析における目的と目標設定の重要性」をご覧ください。
今回「問題の解像度を高める視点」について解説しましたが、これは普段の生活でも活用できるものかと思います。
例えば「●●が増加傾向」といった文脈から注意喚起を促すニュースが放送されているとします。
その際、すぐに鵜呑みにするのではなく、どんな視点から「問題」として取り上げられているかを意識して視聴するだけでも、モノの見方が変わってくるはずです。
また本記事で解説した視点は、
どれか一つという訳ではなく組み合わせて使用することで、より問題の解像度が高くなります。
例えば「大きさ」と「時間推移」の活用などが挙げられます。
例:●●はいつからどれくらい増加しているのか?
ぜひ参考にしてみてください。
おわりに
ここまで読んでくださりありがとうございます。
次のSTEP3では、「適切な”切り口”から問題を紐解いていく」をテーマに解説します。
・自身の業務で何かしらのデータ分析を行うことになったが、取り掛かり方が分からない
・データ分析に興味があるが、ツールの使い方などではなく考え方の基本を学びたい
このような悩みをお持ちの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。