【UXデザイン】ペルソナの意味や作り方を丁寧に解説【テンプレあり】

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webサイト制作において、マーケティング戦略を検討するのに重要なペルソナ設定。ユーザー理解に大切な一方、実際の作り方をイメージしづらいかもしれません。本記事ではペルソナの考え方を具体的にご紹介します。

特に以下のような悩みをお持ちの方は、本記事が解決の一助となれば嬉しいです。

webサイトを制作する際、ペルソナが大事だと言われるけど、実際の作り方のイメージが湧かない。

そもそもペルソナって何?

ペルソナの意味


webサイト制作において、「どんな人の、どんな課題を解決するサイトを作るのか」とを考えることは重要です。

そんなときに役立つのが、ペルソナです。

もともと「ペルソナ」は、古代ギリシアの演劇において、役者が役柄を表現するために被った「仮面(persona)」を意味しました。それが転じて「人、人格」の語源となったと言われています。そして現代のマーケティング活動においては「商品やサービスを利用する、最も象徴的なユーザーモデル」をペルソナと呼んでいます。


「ターゲット」との違い


近しい用語として想起される用語に「ターゲット」があります。

ターゲットは「10~20代の男性」「都内在住の女性」といった広範囲なデモグラフィック変数に対して、ペルソナは「東京都目黒区在住、36歳の化粧品メーカーに勤める女性、所得は..」というように具体的なデモグラフィック変数に加えて、価値観やライフスタイル、性格などのサイコグラフィック変数も定義されます。

実在する人物のレベルにまで綿密に設定するのが「ペルソナ」というわけですね。


ペルソナを考えることのメリット


それではなぜ、ここまで細かく人物像を創り上げることが大切なのでしょうか。
それは主に以下理由が挙げられます。


・チームの共通認識を醸成するため
・プロジェクトの方向性を統一するため
・精度の高い施策立案や仮説検証を可能とするため


特に複数人が絡むプロジェクトの場合、例えば「20代の男性」というターゲットの粒度で対象顧客を想定している場合、人により様々な人物像を想定してしまいます。

Aさんは「平日は学業に励み、休日はバイトに勤む生活を送る22歳の学生」、Bさんは「平日は仕事で数時間の残業もしばしば、休日はサイクリングをすることが趣味な28歳の社会人」などです。

その結果考え得る施策も、前者は「大学生が抱える興味や課題」、後者は「20代後半が抱える興味や課題」の全く異なる背景から検討が生じてしまい、ばらばらの方向性でプロジェクトが進んでしまいます。

これらは極端な例ではありますが、プロジェクト開始時の小さな認識のズレが、後々大きなズレになってしまうことを防ぐためにも、初めに自分たちが目指す方向に対して、なるべく高い解像度で共通認識を持つことは大切です。その結果、適した人物像に向けた施策立案や効果的な仮説検証が可能となるかと思います。


ペルソナの作成手順

①必要な要素を考える


まずは対象のサービス(Webサイト、プロダクト等)のペルソナを検討するにあたり、必要な要素を洗い出します。

例えば「料理のレシピアプリ」のペルソナを検討する場合は「共働きで夫婦ともに帰宅が夜遅いため、料理に割く時間を十分に確保できない」などの特徴が出てくるかもしれません。

このように、対象サービスに適した項目を検討する必要があります。しかし、次のように共通して検討すべき項目もありますので、この点も踏まえ、対象サービスによってどんな項目を設定すべきかは事前に検討することが望ましいでしょう。



その人に関すること

・名前
・年齢
・性別
・興味関心
・世帯構成
・住環境 など

仕事に関すること
・職業
・職場環境
・通勤手段
・通勤時間 など

ライフスタイルに関すること
・目標
・収入、貯蓄
・1日の過ごし方
・所持端末やSNS利用
・対象サービスの利用状況 など


※次の「情報を集める」ステップで、追加すべき要素が出てくることもあります。したがって、このステップで厳密に全ての要素を考え尽くす必要はありません。


②情報を集める


①で設定した項目を軸に、対象となるペルソナの情報収集を行います。ペルソナは、主観的ではなく客観的事実に基づいて作成することが重要です。

代表的な手法として、定量面では「アクセス解析、アンケート」、定性面では「ユーザーインタビュー」が挙げられます。ひとつずつ見ていきましょう。



・アクセス解析
Google AnalyticsやAdobe Analyticsをはじめ各種分析ツールを利用して、ユーザーの(Webサイト上の)行動データを分析する手法です。ECサイトであれば、購買データはもちろん、他に「どんなカテゴリーの商品がよく見られているか」「どこがボトルネックとなっているか」などを確認することで、特徴的なユーザー行動が見えてくるでしょう。

・アンケート
基本的なデモグラフィック情報から、仕事やライフスタイルに関する質問項目として回答データを収集、分析します。自由に設問を設定できる一方で、「如何にスムーズに回答して貰えるか」を意識した設問設計が必要になります。

・ユーザーインタビュー
これもアンケートと同様、用意した質問をもとに対象者へインタビューを実施します。質問の仕方により求める回答が返ってこない場合も考えられるため、質問設計には工夫が必要です。効果的なインタビューの実施方法を学ぶには、書籍『ユーザーインタビューをはじめよう』が参考になります。



これを見ると「ここまでやる必要があるのか..」と思う方もいるかもしれません。

もちろんきちんと設計を行い様々なリサーチ手法を実施することで、データ量も溜まり、より精度の高いペルソナ像を生成することができるでしょう。

ただし対象サービスのターゲット像が身近にいる場合(家族、友人など)は、その人たちに質問してみることで十分価値ある情報を得られるかと思います。


③集まった情報を整理して、ペルソナ像を創り上げる


これまで得た情報から、1つのペルソナ像を作っていきます。ここでは「不動産情報サイト」の開発にあたり、部屋探しをする新卒社会人をペルソナとして整理した例をご紹介します。


ペルソナの例

定義の粒度はさまざまですが、このように人物像を設定することで、複数人のプロジェクトであれば同じ目線で進行でき、かつ「サービスを成長させるために、どんな施策を実行すべきか」などが具体的に見えてくるんじゃないかと思います。

今回使用したペルソナ情報のテンプレート(XDデータ)は、以下からダウンロードできますので、よろしければご活用ください。



ペルソナの運用


作成したペルソナは、定期的にメンテナンスすることが大切です。

仮説検証を繰り返し行っていくと「設定したペルソナ像が一部事実と異なっていた」「サービスの新しい利用者層が出現した」などの場面に遭遇します。常に最適な改善サイクルをまわせるよう、ペルソナは作って終わりではなく、数ヶ月に一度など、定期的に見直しを行いましょう。


おわりに


ここまで読んでくださりありがとうございます。

「このサービスはどんな人たちに向けたものなのか」を考え、その人たちに最適なサービスを提供する。これを実現する上でペルソナ検討は欠かせません。ペルソナ検討の際に、本記事が参考になれば嬉しいです。