『人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント』の書評

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HR Design Lab.代表 兼 博報堂コンサルティング 執行役員の楠本和矢氏が、勝てる事業戦略の策定に向けて、人や組織を企図したとおりに動かすために重要な「KPI」について、基本的な概念から具体的な策定手順まで伝える一冊。

・事業戦略の策定方法や効果的な動かし方を知りたい
・自分事として考えられる、KPIの具体的な策定手順を知りたい
・なかなか動かない社員をうまくリードできるようになりたい

このような方におすすめの書籍です。


書籍の情報


書名:
人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント

著者:
楠本 和矢

出版社:
すばる舎

発売日:
2017/10/21

ページ数:
294ページ

目次:(※開閉ボタンクリックで目次が表示されます)


はじめに

Chapter1 KPIとは何かその位置づけと重要性
 【1】KPIの定義
 【2】KPIマネジメントが必要とされる背景
 【3】KPIの種類
 【4】KPI設定の順序
 【5】トップダウン型アプローチ
 【6】ボトムアップ型アプローチ
 【7】KPIは、ストーリーから考える
 【8】KPIの運用

Chapter2 KPIマネジメントでよくある失敗
 【1】KPIマネジメントにおける6つのよくある失敗
 【2】KPIマネジメントの失敗に共通していること

Chapter3 インサイト探索から「あるべき状態」を見つける
 【1】インサイトとは何か
 【2】「マーケティング戦略」の落とし穴
 【3】「あるべき状態(KR)」とは何か
 【4】「あるべき状態(KR)」を導くための、インサイト
 【5】インサイトを探索する、2つのアプローチ

Chapter4 インサイトを基点としたKPI/ストーリーの設定事例
 【事例①】日本航空株式会社
 【インタビュー1】日本航空が「定時到着率」をKPIにした理由
 【事例②】株式会社丸井グループ
 【インタビュー1】丸井グループが「女性の上位職志向」をKPIにした理由
 【事例③】株式会社あさひ
 【事例④】小林製薬株式会社
 【事例⑤】株式会社サイゼリア
 【事例⑥】ハウステンボス株式会社
 【事例⑦】株式会社SBI証券

Chapter5 KPI策定の具体的なステップ
 【1】KPI策定における、基本的な思考法
 【2】大枠としての進め方
 【Step1】「事業の大目標」をKFIとして設定する
 【Step2】対象事業に関わるステークホルダーのインサイトを探索する
 【Step3】棚卸したインサイトをもとに「あるべき状態(KR)」を導出する
 【Step4】「あるべき状態(KR)」を実現するための「キーアクション(KA)」を導出する
 【Step5】KFI、KR、KAを波及効果で連結し、「ストーリー」としてまとめる
 【Step6】KR、KAに、測定可能な指標を施し、計測プランを立てる

Chapter6 KPI測定の方法
 【1】問いの立て方
 【2】代替指標
 【3】KPIの検証方法

Chapter7 管理者のためのKPI/ストーリーのチェック方法
 【1】管理者がチェックするための視点

おわりに



書籍の紹介


本書は、KPIマネジメントに興味を持つ経営者や事業責任者、これから企業の中核を担う次世代のリーダー候補をはじめ、ビジネスに携わるすべての人たちに向けて、KPIの概念と策定方法の理解を踏まえた「勝てる戦略の立て方」と「人の動かし方」を習得するための方法論を提示する書籍です。


全体の流れとして、以下の点に沿って解説しています。

①KPIとKPIマネジメントについての基本的な概念
②顧客や組織を動かすためにKPIが非常に強力なツールになる理由
③KPIという概念は導入されているものの、うまく活用できない企業が多い理由
④具体的にどのような手順でKPIを策定するか、その方法論
⑤策定したKPIを検証、効果測定する上でのポイント



みなさんは「KPI」と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか?


事業活動を行う上で重要な要素とは聞くものの、
どこか概念的で、自分事として捉えにくいと感じる方も少なくないかもしれません。


本書ではKPIの策定アプローチにおいて、
人の心理が出発点」「現場でのリアリティ」「再現できる方法論」という点に重きを置いています。


それは本来このような捉え方でないと、
KPIは実際のビジネスの現場で全く機能しないと考えているからです。


ビジネスの現場ではさまざまな悩みが発生しています。


そもそも、事業戦略をどのように策定すればよいか?
事業戦略を効果的に動かすにはどうすれば良いか?
現在、設定されているKPIは本当に今のままでよいか?
なかなか動かない社員をどのようにリードすればよいか?


論点を整理すると、これらは「勝てる戦略の立て方とは」「人の動かし方とは」に集約されます。


これをクリアにするには、どんな考え方や手法が有効なのか。


本書は多くの事例やフレームワークを用いて、KPIの概念や策定方法を実践的かつ体系的に説いていきます。


本書を読み終えた頃には、きっとKPIに関する物事が自分事として捉えられるようになっているでしょう。



ピックアップ(書籍から抜粋)


KPIと聞くと何だか「机上の話」「小難しい概念論」「数値的な世界」を想像する方も多い。しかし本書で解説するKPIの策定アプローチは ・人の心理が出発点 ・現場でのリアリティ ・再現できる方法論 という、今までの概念とは「反転」するものになると捉えていただきたいと思う。むしろそういうものでないと、KPIは現場で全く機能しないと考えるからである。

フレームワークに基づいた事業戦略やマーケティング戦略は、すでにノウハウが広く普及していてコモディティ(同質)化しているので、もはや現実には役立たないのである。

ビジネスの現場で本当に大切なことは「誰もが簡単に理解できるロジカルな戦略を、いかに立てられるか」ということではない。 「どこに視点を持っていけば、自社固有の勝てる戦略を作れるか。そのためにいかに深く考えるための方法や枠組みを持つか」 ということのほうが、はるかに重要なのである。

じっくり社員の意識を涵養していくような啓発的なアプローチもいいが、まず「仕組み」や「環境」を使って、人や組織を動かしていく方法を採用したほうが、よりコントロールしやすく直接的であるため、結果として企図した効果が発揮されやすい。これは私の持論である。

KPIを一度設定してそのまま運用し続けるのではなく、KPI自体とそれに伴うアクションそのものの練度を高めていく活動も必要なのである。

KPIは、人や組織に与える影響力が強いだけに、1点と1点の関係でのみ物事を考えるのではなく、KPIという1点から複数の「点」と、そこから波及効果としてつながる「線」で考える必要がある。 そのKPIがあることによって、本音として対象者にどのような意識や行動が生まれるか。机上の理屈だけで考えてはならない。 「そのKPIがあることで、対象者やその周辺のステークホルダーがどう思い、どう行動するか」という、人間の本音の部分を想像しなければうまくいかない。

KPIマネジメントを語る上で欠かせない「インサイト(insight)」の探索。これを正しく理解し、検討の中で使いこなせるか否かが成否を分けると言っても過言ではない。

教科書的に一見「正しいコトを、正しい手順で」実施すれば、相手が必ず然るべき反応をするかというと、そんなことはほとんどない。 人間的な視点に基づいた「インサイトの探索」が、実効性のあるKPIマネジメント、マーケティング戦略を進める上で欠かせない。

まだ見えていない相手の心理、即ちインサイト(隠れている感情、本音など) を辿ってみる。 そのインサイトのレベルで見てみると、実は同じ理由から複数の課題が生じていると気づくことが多い。 まさにそれこそが攻略すべき点、作るべき「あるべき状態」 である。

実効性の高いKPIマネジメントを推進するためには、当該部門の担当者だけが理解し、作成・完結するだけではなく、その上にいる管理者によるチェックや、他部/他部門メンバーとのディスカッションを通じて、さらに練度を高めていくためのプロセスを組むべきである。

実践ポイント


・KPI策定の際は本書記載の6つのステップに則り実施する
・人間的な視点に基づいた「インサイトの探索」をKPI検討時に意識することを欠かさない



関連書籍


関連書籍として、同一著者による『トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口』があります。


行動経済学の様々な理論をビジネスやマーケティング領域に落とし込むための手順論と、それに基づく様々な参考事例について「実務家の視点」で伝える一冊です。


本記事でご紹介している『人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント』にも、行動経済学を活用した考え方が随所に登場しています。併せて読むことで、理解がより深まるかと思います。


次の記事でご紹介していますので、よろしければご覧ください。



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最後までご覧いただきありがとうございました。